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債権回収について

債権回収について

債権回収と言っても、知人に金を貸したが返してくれないので回収するというものから、売掛金や請負代金を支払ってくれないというものまでさまざまです。

ここでは、二つに絞って考えたいと思います。

その一は、問題化する前の予防策です。これには、@書面で連帯保証人を付けてもらう、Ⓐ抵当権、質権などの担保を設定してもらう、Ⓑ継続的な取引をする相手方に対しては、取引基本約定書を交わし、同じく連帯保証人や担保を設定してもらう、Ⓒ特に法人との取引では、少なくとも代表者個人に連帯保証人になってもらうことが必要です。

ただし、取引先の立場が強い場合には、なかなかそれらに応じてもらえないことがしばしばです。その場合には、毎月の未収金の額をできるだけ少なくする工夫が必要です。毎月の締日と支払日について交渉し、あるいは手形と現金での支払いの場合には、できるだけ現金での支払いを多くしてもらう、相手方の信用が弱い場合には、信用のある第三社の手形で支払ってもらい、裏書してもらうなどの工夫が必要です。

その二は、問題が起きたときの対応策です。こちらの方は、どの本にも同じことが書いてあり、督促文を普通文書や内容証明郵便で送る、支払督促の申立てを簡易裁判所に提起する、少額訴訟も含めて訴訟を提起する、保全のために仮差押、仮処分をする、担保権の実行として競売申し立てをする、などが言われています。

債権回収の最大の難問

しかし、問題はその先のことであり、果たして判決に基づいて強制執行する財産が債務者にはあるのか、その財産をどうやって見つけるのか、にあります。

基本的な作業としては、個人の場合、相手方の住所を探す、勤務先を調べる、住所地の不動産が債務者の所有かどうかを、登記簿で調べる、その結果、執行可能であれば給料債権を差し押さえたり、住所地周辺に支店を持つ金融機関の預金を差し押さえたり、不動産に対する競売申し立てをする、などの手続きに移行することになります。

法人の場合も、所在地の不動産を登記簿調べる点は一緒ですが、帝国データバンクその他の信用情報があれば、それをもとに主要銀行の預金の差押え、取引先に対す売掛金の差押え、不動産の差押え、などの手続きに移行することになります。

その他、相手方が倒産手続(破産、民事再生手続、会社更生手続など)に移行した場合にも困難な問題が生じます。

その他、債権回収においても、いろいろな問題がありますので、専門家のアドバイスが不可欠な分野の一つです。

なお、債権回収の理論面については、東大の森田修教授の債権回収法講義(有斐閣)が、まとまった良い本なのでおすすめします。

以上。