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法律知識のコーナー

債権法改正について

債権法改正について(2)

債権法改正の動き

(1)法務大臣の諮問

法務大臣は、平成21年10月28日、諮問第88号により、「民事基本法典である民法のうち債権関係の規定について、同法制定以来の社会・経済の変化への対応を図り、国民一般に分かりやすいものとする等の観点から、国民の日常生活や経済活動にかかわりの深い契約に関する規定を中心に見直しを行う必要があると思われるので、その要綱を示されたい。」との諮問をしました。

(2)法制審議会における中間的な論点の整理(第1ステージ)

それを受けて、法制審議会民法(債権法)部会は、平成21年11月から平成23年4月までの審議に基づき,「民法(債権関係)の改正に関する中間的な論点整理」が決定され,パブリック・コメントの手続きに付され,各種団体からの意見聴取がなされました。

(3)法制審議会における中間試案の作成(第2ステージ)

平成23年7月26日の第30回部会において、中間試案の取りまとめを行う目標の時期につき、平成25年2月目途とされました。そして,審議の結果,平成25年2月に「民法(債権関係)の改正に関する中間試案」がまとめられ,再びパブリック・コメントの手続きに付されました。

(4)法制審議会における要綱の決定(第3ステージ)

平成25年7月からの審議の結果,平成27年2月に「民法(債権関係)の改正に関する要綱」が決定されました。その間に要綱仮案も作成されましたが,仮案の作成に際しては,約款部分のみは留保されました。しかし,要綱においては,その約款部分も含めた改正案が出され,平成27年2月にその要綱の内容が法制審議会で決定されたのです。

(5)国会での審議

上記民法(債権関係)の改正に関する要綱」に基づいた「民法の一部を改正する法律案」「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」とが,平成27年3月31日に,第189回国会(常会)に法案として提出され,平成28年秋に審議入りしました。
そして,平成29年4月14日に衆議院で,同年5月26日に参議院で,法案が可決され,民法改正法及び整備法が成立しました。
民法改正法と整備法は,同年6月2日に公布され,一部を除き,2020年4月1日から施行されます。
なお,一部を除きと言いましたが,例外として,①定型約款は,施行日前に締結された契約にも,改正後の民法が適用されますが,施行日前(2020年3月31日まで)に反対の意思表示をすれば,改正後の民法は適用されないことになります。
また,②事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約は一定の例外がある場合を除き,事前に公正証書が作成されていなければ無効となりますが,施行日から円滑に保証契約の締結をすることができるよう,施行日前から公正証書の作成を可能とすることとされており,この規定は2020年3月1日から施行されます(法務省ホームページ「民法(債権関係)改正法の施行期日について」を参照。)。
法律案の詳細については、法務省ホームページ→所管法令等→国会提出法案など→第189回国会(常会)→民法の一部を改正する法律案→法律案をクリックすると,その全文を見ることができます。

なお,本ホームページでは,「民法(債権関係)の改正に関する要綱」が,従前の民法の条文と対比するという意味では,わかりやすい面があるので,要綱の言葉を少し残しながら,民法改正法の全文を,詳しく解説していきます。

(平成30年8月12日現在)