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講演録のコーナー

講演録について

民生委員・児童委員と個人情報保護

H27.2.12 弁護士 渡部一郎

民生委員の立場

特別職の地方公務員(地方公務員法3条3項2号)
但し、特別職の地方公務員には、地方公務員法の適用がないので(同法4条2項)、同法34条1項の守秘義務(罰則付)の適用はない。

民生委員の守秘義務の根拠

民生委員法15条「民生委員は、その職務を遂行するに当たっては、個人の人格を尊重し、その身上に関する秘密を守り、・・」
*秘密・・一般に了知されていない事実であって、それを一般に了知せしめることが一定の利益の侵害になると客観的に認められるもの。

個人情報とは

@個人情報保護法 → 個人情報取扱事業者に適用
個人情報の定義・・生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することとなるものを含む。)
Ⓐ行政機関個人情報保護法 → 国の機関に適用
個人情報の定義・・個人情報保護法の定義から、「容易に」を抜いたもの。
Ⓑ独立行政法人等個人情報保護法 → 独立行政法人などに適用
行政機関個人情報保護法と同じ
Ⓒ大阪市個人情報保護条例→ 同市の機関・同市設立の地方独立行政法人に適用
行政機関個人情報保護法と同じ

民生委員に適用される法律は?

個人情報取扱事業者→特定の個人の情報が過去6か月以内のいずれの日にも5000を超えないものは、除く(施行令2条)
よって、民生委員は、個人情報取扱事業者ではない。
ただ、個人情報保護法の趣旨に従って、個人情報を取り扱うべき。

情報を伝達する場合の適用法令

大阪市から民生委員への情報伝達 大阪市個人情報保護条例が適用
民生委員から大阪市への情報の伝達 個人情報保護法が適用(但し、個人情報取扱事業者ではない。)
個人情報取扱事業者から民生委員への情報の伝達 個人情報保護法が適用

民生委員が、個人の同意なく第三者に情報提供することが許される場合

原則 第三者への個人情報の提供には、個人の同意が必要
例外 @法令に基づく場合(法23条1項1号)
・警察からの報告の求めに応じる場合(刑事訴訟法)
・弁護士会からの報告の求めに応じる場合(弁護士法)
・統計調査への協力(統計法)
・児童虐待に係る通告(児童虐防止法)
例外 A法23条1項2号ないし4号の場合 → 資料参照

個人情報の利用目的の特定と利用目的による制限

個人情報保護法15条、16条 → 資料参照

行政からの情報提供

過剰反応はないか? 条例の問題・・内部での利用 事前承諾の必要性

個人情報の収集

・収集の目的を伝え、関係機関への提供につき、同意を取る。
・想定外の利用については、あらためて本人の同意を取る。

情報の管理

・複写しない。
・持ち歩かない。
・自宅での保管場所を決める。
・不要な情報は、シュレッダー等で破棄