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法改正のコーナー

民法(債権法)改正について

民法(債権法)改正について(9) 第14 受領遅滞

30・8・14

本項が取り上げる範囲

第14 受領遅滞

第14 受領遅滞

1 民法第413条の削除
旧民法第413条を削除し,個別に受領遅滞に関する規定を置く。
(解説)

旧民法413条の,受領遅滞の場合に,「遅滞の責任を負う。」との抽象的な規定を削除し,次に述べるとおり,具体的な規定を,その効果ごとに,個別に置くことにしました。

2 保存義務の軽減
保存義務の軽減について,次のような規律を設ける。

413条1項 債権者が債務の履行を受けることを拒み,又は受けることができない場合において,その債務の目的が特定物の引渡しであるときは,債務者は,履行の提供をした時からその引渡しをするまで,自己の財産に対するのと同一の注意をもって,その物を保存すれば足りる。
(解説)

受領遅滞の効果として,目的物の保管につき,「自己の財産に対するのと同一の注意」で足りるものとし,注意義務を,善管注意義務より軽減したものです。

3 履行費用の債権者負担
履行費用の債権者負担について,次のような規律を設ける。

418条2項 債権者が債務の履行を受けることを拒み,又は受けることができないことによって,その履行の費用が増加したときは,その増加額は,債権者の負担とする。
(解説)

受領遅滞によって増加した費用を債権者が負担すべきことを規定したものです。

4 受領遅滞中の履行不能
受領遅滞中の履行不能について,次のような規律を設ける。

413条の2第2項 債権者が債務の履行を受けることを拒み,又は受けることができない場合において,履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務の履行が不能となったときは,その履行の不能は,債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなす。
(解説)

受領遅滞中に,債務者の責に帰することができない事由によって履行不能となった場合に,債権者の責に帰すべき事由によるものとみなし,契約解除等ができないなどの効果が生じるものとしました。
いずれも,従前から,受領遅滞の効果として解釈によって認められていたものです。
また,債権者に受領義務があるか否かについては,規定が置かれておらず,引き続き解釈によるものと思われます。

以上