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法改正のコーナー

民法(債権法)改正について

民法(債権法)改正について(16) 第24 相殺 第25 更改

第25 更改

1 更改の要件及び効果(民法第513条関係)
旧民法第513条の規律を次のように改める。

当事者が従前の債務に代えて,次に掲げるいずれかの新たな債務を成立させる契約をしたときは,従前の債務は,更改によって消滅する。
1 従前の給付の内容について重要な変更をしたもの
2 従前の債務者が第三者と交替したもの
3 従前の債権者が第三者と交替したもの

(解説)

本条は,更改契約が,当事者が従前の債務に代えて,新たな債務を成立させる契約であることを明記するとともに,旧規定にあった「債務の要素」の文言を「給付の内容」に改め,その内容を明確にしました。

2 債務者の交替による更改(民法第514条関係)
旧民法第514条の規律を次のように改める。

514条 債務者の交替による更改は,債権者と更改後に債務者となる者との契約によってすることができる。この場合において,更改は,債権者が更改前の債務者に対してその契約が成立した旨を通知することによって,その効力を生ずる。
   2 民法の規定により債務者となった者は,更改前の債務者に対して求償権を取得しない。

(解説)

債務者の交替による更改と機能が類似する免責的債務引受の改正規定と,要件面,効果面で平仄を合わせました。

3 債権者の交替による更改(民法第515条・第516条関係)
旧民法第515条及び第516条の規律を次のように改める。

515条 債権者の交替による更改は,更改前の債権者,更改後に債権者となる者及び債務者の契約によってすることができる。
   2 債権者交替による更改は,確定日付のある証書によってしなければ,第三者に対抗することができない。


民法第516条を削除する。
(解説)

515条1項では,債権者の交替による更改が新旧両債権者と債務者の三面契約によってなされることが明記されました。
同条2項では,債権者の交替による更改が実質的には債権譲渡の機能を営むことから,旧民法515条の規定を実質的に維持し,確定日付のある証書によらなければ第三者に対抗できないものとしました。
改正法が,異議を留めない承諾に関する旧民法468条1項を削除することになったことから,その規定を準用していた旧民法516条を削除することとしました。

4 更改の効力と旧債務の帰すう(民法第517条関係)
旧民法第517条を削除する。
(解説)

旧民法517条の規定に合理性が見いだせないとして,同条を削除し,個別の判断に委ねました(中間試案の補足説明315頁)。

5 更改後の債務への担保の移転(民法第518条関係)
民法第518条の規律を次のように改めるものとする。

518条 債権者(債権者の交替による更改にあっては,更改前の債権者)は,更改前の債務の目的の限度において,その債務の担保として設定された質権又は抵当権を更改後の債務に移すことができる。ただし,第三者がこれを設定した場合には,その承諾を得なければならない。
   2 前項の質権又は抵当権の移転は,あらかじめ又は同時に更改の相手方(債権者の交替による更改にあっては,債務者)に対してする意思表示によってしなければならない。

(解説)

1 1項は,実質的に民法518条の規定を維持するものです。
2 2項は,更改によって旧債務が消滅し,旧債務の消滅によって,質権又は抵当権の付従性から,それらの担保権も消滅することから,あらかじめ又は同時に(すなわち更改契約をする以前に),更改の相手方に対する意思表示によって担保の移転の合意を要求するものです。

以上