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法改正のコーナー

民法(債権法)改正について

民法(債権法)改正について(12) 第17 多数当事者

5 不可分債務
民法第430条の規律を次のように改める。

430条 第四款の規定(民法第440条の規定を除く。)は,債務の目的がその性質上不可分である場合において,数人の債務者があるときについて準用する。

(解説)

当事者の意思による不可分債務を発生させる余地を無くし,連帯債務と不可分債務は,債務の目的が性質上不可分か可分かで区分されることになります。
また,改正民法440条の混同の規定を除き,連帯債務の規定を準用することになっており,連帯債務と不可分債務は,効果の点での差がなくなりました。

6 連帯債権
連帯債権者の請求権等について,次のような規律を設ける。

432条 債権の目的がその性質上可分である場合において,法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債権を有するときは,各債権者は,全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求することができ,債務者は,全ての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる。
(解説)

連帯債権については,実際の例はほとんどなく,民法にも規定が置かれませんでした(内田Ⅲ379頁)。
しかし,今回の改正で,連帯債権の規定を置き,連帯債務の場合とほぼ同様の規定を置きました。

7 連帯債権者の一人について生じた事由の効力等
(1) 連帯債権者の一人との間の相殺
連帯債務者の一人との間の相殺について,次のような規律を設ける。
「434条 債務者が連帯債権者の一人に対して債権を有する場合において,その債者が相殺を援用したときは,その相殺は,他の連帯債権者に対してもその効力を生ずる。」

(2) 連帯債権者の一人との間の更改又は免除
連帯債権者の一人との間の更改又は免除について,次のような規律を設ける。
「433条 連帯債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があったときは,その連帯債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益に係る部分については,他の連帯債権者は,履行を請求することができない。」

(3) 連帯債権者の一人との間の混同
連帯債権者の一人と債務者との間に混同があった場合について,次のような規律を設けるものとする。
「435条 連帯債権者の一人と債務者との間に混同があったときは,債務者は,弁済をしたものとみなす。」

(4) 相対的効力の原則
連帯債権について,次のような規律を設ける。
「435条の2 432条から前条までに規定する場合を除き,連帯債権者の一人の行為又は一人について生じた事由は,他の連帯債権者に対してその効力を生じない。ただし,他の連帯債権者の一人及び債務者が別段の意思を表示したときは,当該他の連帯債権者に対する効力は,その意思に従う。」
(解説)

連帯債権の対外的な効力についても,連帯債務と同様の規律としています。

8 不可分債権
民法第428条の規律を次のように改める。

次款の規定(第433条及び第35条の規定を除く。)は,債権の目的がその性質上不可分である場合において,数人の債権者があるときについて準用する。

(解説)

旧民法428条は,不可分債権につき,性質上の不可分と当事者の意思表示による不可分の二つの場合があることを規定していましたが,改正案では,当事者の意思による不可分の規定を削除しました。

以上