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法改正のコーナー

民法(債権法)改正について

民法(債権法)改正について(17) 第26 契約に関する基本原則 第27 契約の成立 第28 定型約款 第29 第三者のためにする契約

27・5・9

本項が取り上げる範囲

第26 契約に関する基本原則
第27 契約の成立
第28 定型約款
第29 第三者のためにする契約

第26 契約に関する基本原則

1 契約自由の原則
契約自由の原則について、次のような規律を設けるものとする。

(1) 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
(2) 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
(3) 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。 」
(解説)

① 契約内容に関する自由、②締約の自由、③相手方選択の自由、④契約方式の自由をあわせて、契約自由の原則と呼びます。
本条は、(1)で②、③を、(2)で④を、(3)で①を、法令の範囲内で認めるものです。

2 履行の不能が契約成立時に生じていた場合
契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であった場合について、次のような規律を設けるものとする。

「契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、第11の1及び2の規定によりその履行不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない。」
(解説)

新設規定です。契約に基づく債務の履行が、その契約成立のときにすでに不能であったときでも、そのために契約の効力発生が妨げられないという理解を前提にして、債務不履行(履行不能)による損害賠償請求(履行利益の賠償)を認めるものです。
従来、日本では、ドイツ法学の影響を受け、原始的に不能(契約成立時にすでに債務の実現が不能な場合)な債務は無効であると考えてられてきました。その考え方によれば、原始的に不能であれば、そもそも契約自体が成立せず、従って債務不履行責任を免れることになります。
しかし、後発的不能(契約締結後に履行不能になった場合)とのバランスを考えると、原始的不能の場合にも、契約締結上の過失責任と呼ばれる不法行為責任(但し、その法的構成については、さまざまな見解があります。)と構成するよりも、端的に契約責任と構成する方が妥当であるとの考え方も根強かったところです(内田民法Ⅲ25〜27頁参照)。
また、近時の国際的な契約準則では、給付の原始的不能は契約を無効にしないとの考え方が有力となってきています。
そのようななか、後者の考え方に従い、本条が新設されたものです。