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法律知識のコーナー

相続・離婚についての知識

離婚について(2)

(2) 法的な手続き

法的な手続きについては、弁護士のところに相談に来る案件の場合、離婚協議がうまくいかなかった事案が大半なので、基本的には、家庭裁判所への離婚調停の申立てが必要なケースが大半です。

平成25年1月1日に施行された家事事件手続法の257条1項は、旧法(家事審判法)を引き継ぎ、調停前置主義を採っています。すなわち、離婚訴訟を起こす前に、家庭裁判所の調停で話し合いをしなさいという主義です。

ですから、離婚調停において、まずは話し合い、調停によっても話し合いが調(ととの)わない場合に、はじめて離婚訴訟ということになります。

なお、ケースによっては、離婚調停の申し立てをする前に、弁護士名で相手方に文書を送り、話し合いで解決できる場合もあります。その場合には、相手方が離婚に際して約束した内容を不履行した場合に、ただちに強制執行ができるように、公証人役場で公正証書を作成してもらう場合もあります。また、離婚協議書だけで済ませる場合もあります。

公正証書に記載する内容は、離婚の合意、親権者の定め、養育費の支払い、財産分与と慰謝料の支払い、未成年の子との面会交流(従前は、面接交渉権と言われていたものです。)、(場合によっては)連帯保証人、清算条項などです。

そのように公正証書等にした場合でも、実際に、別途、市役所や区役所に離婚届けを提出する必要があるので、別途、離婚届けに双方が署名・捺印し、どちらか一方がそれを届け出ることになります。

また、離婚調停を家庭裁判所に申立て、調停での話し合いがうまくいって、離婚調停が成立した場合にも、先ほど申し上げた公正証書の場合とほぼ同じ内容の調停調書が作成されます。

この調停調書にも判決と同じ効力があり、不履行の場合に強制執行が可能です。

なお、離婚協議や調停でもっともやっかいなものの一つに、夫婦がローンで購入したマンションを財産分与の対象にする場合があります。たとえば妻にそのマンションを財産分与してもよいと夫が言っていても、ローンが残っているために名義変更をすることについても、設定されている担保権者との関係で問題があり、今後のローンをどうするかの問題が残るからです。調停調書の文言で工夫をしても、夫がローンを支払わなかった場合の不安が常に残ります。

また、財産分与や慰謝料は、それが金銭で支払われるときには課税関係は生じないのですが、たとえば不動産を財産分与する場合には、譲渡所得の課税要件である資産の譲渡に該当し、その時の時価によって譲渡したものとされてしまうので(所得税法33条1項、所得税基本通達33-1の4)、財産を与える側においては特に注意が必要です。税法の特例の適用を受けられるかどうかなのにつき、税理士さんに事前に相談すべきでしょう。