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講演録のコーナー

聞いて役立つ法律講座(大阪市立大学文化交流センター)

刑事事件の話

H29・1・31 弁護士 渡部一郎

1 逮捕されたら,いつまで身柄を拘束されますか。

1-1 刑事事件の流れ
  1. (1)在宅事件
    1. 警察は逮捕せず → 検察庁に送致 → 起訴不起訴の判断
  2. (2)身柄付事件
    1. ①警察が逮捕 → 検察庁に送致 → 検察官が裁判所に勾留請求 → 勾留満期までに検察官が起訴不起訴の判断
    2. ②検察による逮捕 → 裁判所に勾留請求 → 勾留のうえ起訴・不起訴の判断

☆(2)の②が,いわゆる特捜事件 いわゆる村木さん事件を契機に改革を迫られたものです。

1-2 何日間拘束されるのですか?
  1. (1)は拘束されません。そこで,「在宅事件」と呼ばれています。
  2. (2)は拘束されます。逮捕のみで終われば48時間。もし勾留されれば,最初に10日間,勾留延長されればさらに最大10日間延長されることになります。

☆また,勾留延長が常態化しているのが捜査の現状です。さらに別事件で再逮捕されると,48時間,10日間,10日間が繰り返されることもあります。

1-3 起訴,不起訴には,どのようなものがありますか?
  1. (1)起訴 → 公判請求と略式命令請求
  2. (2)不起訴 → 嫌疑不十分による不起訴,起訴猶予,告訴取消,時効成立
1-4 容疑者,被疑者,被告人はどう違うのですか?
  1. (1)「容疑者」 法律用語ではなく,マスコミが独自に使う言葉です。
    被疑者と被害者が似ているので,区別するためにマスコミが被疑者のことを容疑者と呼び始めたとの解説が一部にあります。
  2. (2)「被疑者」 捜査機関が犯人の疑いがあるとして捜査の対象としている者のうち,被告人となっていないものを言います。
  3. (3)「被告人」 被疑者は,起訴された段階から被告人と呼ばれます。
    マスコミが起訴された人を○○被告と呼び,「人」を付けないのは,正確な呼び方ではありません。
    「被告」(被告人ではない。)は,「原告」と「被告」ということで,むしろ民事の裁判で使われる用語です。
1-5 万一逮捕されたら,どうしたらよいのですか?

まずは,弁護士を呼ぶことです。知り合いがいなくても,当番弁護士を呼べるし,一定の犯罪については,被疑者国選の制度を使えます。
また,やっていない犯罪で逮捕された場合には,自白調書に絶対に署名しないことです。