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法改正のコーナー

民法(債権法)改正について

民法(債権法)改正について(24) 第37 雇用 第38 寄託 第39 組合 第40 その他

27・6・11

本項が取り上げる範囲

第37 雇用
第38 寄託
第39 組合
第40 その他

第37 雇用

1 報酬に関する規律(労働に従事することができなくなった場合等の報酬請求権)
労働に従事することができなくなった場合等の報酬請求権について、次のような規律を設けるものとする。

労働者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
(1)使用者の責めに帰することができない事由によって労働に従事することができなくなったとき。
(2)雇用が履行の中途で終了したとき。 」
(解説)

使用者の責めに帰することができない事由によって労働に従事することができなくなったとき、又は雇用が履行の中途で終了したときに、労働者に、履行に応じた割合的な報酬請求権を認めた新設規定です。 本要綱は、使用者の責めに帰することができない事由によって労働に従事することができない場合の規定ですから、使用者の責めに帰すべき事由によって労働に従事することができない場合には、改正後の民法536条2項の危険負担の規定により、使用者は、労働者に対して、その期間の全額の報酬を支払うべきことになります。

2 期間の定めのある雇用の解除(民法第626条関係)
民法第626条の規律を次のように改めるものとする。

(1) 雇用の期間が5年を超え、又はその終期が不確定であるときは、当事者の一方は、5年を経過した後、いつでも契約を解除することができる。
(2) (1)の規定により契約の解除をしようとする者は、それが使用者であるときは3箇月前、労働者であるときは2週間前に、その予告をしなければならない。 」
(解説)

民法626条1項但書は、「商工業の見習を目的とする雇用については、10年とする。」旨の、現在社会では、適用場面が限られた規定が残されていました。
本要綱は、同法626条1項但書を削除し、規定を整理しました。
また、同条2項についても、使用者側からの解除の予告期間はそのまま3か月前とした上で、労働者保護の観点から、労働者側からの解除の予告期間を2週間前としました。
なお、労働基準法14条1項に特別規定があるので、改正前も改正後も、本条が適用される者は、限られているものと思われます。

3 期間の定めのない雇用の解約の申入れ(民法第627条関係)
民法第627条第2項及び第3項の規律を次のように改めるものとする。

(1) 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
(2) 6箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、(1)の解約の申入れは、3箇月前にしなければならない。(民法627条第3項と同文)」
(解説)

(1)は、民法627条と同じ規定を、使用者側からの解除にのみ適用されるように改正されました。
(2)についても、「前項の解約申し入れは」と規定されているので、同じく使用者側からの解除にのみ適用があります。
そうすると、労働者側からの解除については、627条1項によって、いつでも解約の申し入れができ、それから2週間の経過によって雇用契約が終了することになります。