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法改正のコーナー

民法(債権法)改正について

民法(債権法)改正について(24) 第37 雇用 第38 寄託 第39 組合 第40 その他

第39 組合

1 契約総則の規定の不適用
組合契約に対する契約総則の規定の不適用について、次のような規律を設けるものとする。

(1) 民法第533条及び第536条の規定は、組合契約については、適用しない。
(2) 組合員は、他の組合員が組合契約に基づく債務の履行をしないことを理由として、組合契約を解除することができない。」
(解説)

(1)は、民法533条の同時履行の抗弁権の規定や、民法536条の危険負担の規定(但し改正後のもの)の規定が組合契約に適用されないことを規定しています。
(2)は、他の組合員が履行しないことを理由として、組合契約の解除ができないことを規定しています。
特に出資債務に関して契約総則の規定(同時履行の抗弁権、危険負担、解除)をそのまま適用するのが適当でないため、組合契約は、単純な契約というより合同行為と解されており(内田民法Ⅱ309頁)、その趣旨に沿った規定と言えます。

2 組合員の一人についての意思表示の無効等
組合員の一人についての意思表示の無効等について、次のような規律を設けるものとする。

「組合員の一人について意思表示の無効又は取消しの原因があっても、他の組合員の間においては、組合契約は、その効力を妨げられない。」
(解説)

組合契約の団体的な性質から、組合員の一人に意思表示の無効又は取消しの原因があっても、他の組合員にその効果が及ばないものとしました。
もとより、組合も契約の一種には違いがないので、意思表示が無効ないし取消しとなった当該組合員と組合との間では、無効ないし取消しにより、出資金等の返還請求ができることになります。

3 組合の債権者の権利の行使(民法第675条関係)
民法第675条の規律を次のように改めるものとする。

(1) 組合の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができる。
(2) 組合の債権者は、その選択に従い、各組合員に対して損失分担の割合又は等しい割合でその権利を行使することができる。ただし、組合の債権者がその債権の発生の時に各組合員の損失分担の割合を知っていたときは、その割合による。 」
(解説)

(1)は、組合の債権者が、組合財産に対して権利行使ができることを規定しました。
(2)は、民法675条の趣旨を受け継いだ規定であり、組合の債権者は、各組合員に対して、その選択により、組合員の損失分担の割合又は等しい割合で権利行使ができることを規定しました。但し、債権発生当時に、各組合員の損失分担の割合を知っていたときには、その割合によります。

4 組合員の持分の処分等(民法第676条・第677条関係)
(1) 民法第676条に次の規律を付け加えるものとする。
組合員は、組合財産である債権について、その持分についての権利を単独で行使することができない。

(2) 民法第677条の規律を次のように改めるものとする。
組合員の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができない。
(解説)

(1)は、組合財産である債権について、個々の組合員が分割して行使できないことを規定したものです。
(2)は、個々の組合員の債権者は、組合財産に属する個々の財産について、権利行使ができないことを規定しています。

5 業務執行者がない場合における組合の業務執行(民法第670条第1項関係)
民法第670条第1項の規律を次のように改めるものとする。
「組合の業務は、組合員の過半数をもって決定し、各組合員がこれを執行する。」
(解説)

民法670条第1項は、業務執行の意思決定を組合員の過半数で決定する旨の規定を置いていますが、要綱は、これに加え、決定された業務執行の方法について、「各組合員がこれを執行する。」旨の規定を追加しています。